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MR340 report  世界一長いノンストップダウンリバーレースを終えて

text by Ikuzo Fujimura

「そこにはUltra T80の理想像があった」

たくさんの応援本当にありがとうございました。8/8 7:00にカンザスシティーをスタートし8/11 15:15にゴールのセントルイスに到着、79時間15分で550kmを完漕しました。

447艇中293艇完漕。SUPの中では8位、全体では232位。

例年より少ない水量、ほぼ4日間吹き続けた向かい風、暑さによる体力消耗と雨や風による体温低下が交互にやってくる不安定な天候、今年は例年より厄介だったようですが何しろ初出場なので比べる基準がないですね。ひたすら漕いでいました。

1日3時間睡眠、2時間休憩、19時間パドルという毎日でしたが、行く先々でグランドクルーの戸高亮がテントを張って待ち構えてくれていたおかげで陸に上がってすぐ仮眠や食料補給を行うことができ初出場の割には要領よく乗り切れたのではないかと思います。

UltraT80のためのレース運営側のリサーチと550kmの完漕この2つの目的で参加したこの大会、見事両方ともクリアして帰国することができました。

 

 

 

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パドラー、グランドクルー合わせて15oo人ほどがスタート前日のセイフティーミーティングに参加。

大会初の日本人。現地入りした時点で有名人になってました笑

Ultra T80の理想像、未来の姿がここにはある。現地入りして選手ミーティングの時からそう感じました。選手リストが数ヶ月前から公表されており僕が日本人初参加ということでかなり話題になっており現地入りした時は既に有名人笑。

レース前にコースを下見してる時からレース中、表彰式まで常にいろんな人が話しかけてくれました。そのおかげでたくさんの人と知り合うことができ、パドラー、スタッフ、ボランティアみんなにとってのMR340ストーリーを聞くことができました。

 

 

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レース前日の忙しい中インタビューのために時間を割いてくれたオーガナイザーのScott Mansker氏。 インタビューの後にリアルタイム動画配信で日本のパドラーにもコメントを送ってくれました。

初年度は15人!今年は1000人以上のパドラーが参加

中でも収穫だったのはこのレースを始めた張本人でありレースディレクターのスコットにインタビュー出来たこと。忙しい中無理やり時間を取ってもらい、なぜ、いつ、どうやってこのクレイジーなレースが始まったのかを聞くことができました。またUltra T80に向けてとても貴重なアドバイスももらえたことも完漕できたことと同じかそれ以上の収穫。とにかく彼の話は面白かった!いろんなエピソードを聞かせてもらいましたがそれらはBLADES magazineなどの記事で紹介できたらと思います。

 

 

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ソロクラスのスタートは7時、タンデム以上の複数クラスは8時のスタート。カンザスシティーの朝焼けの中スタートここから550kmの世界最長のレースが始まる

みなさんの応援で乗り切れました!

応援してくれた皆さん本当にありがとうございます。仲間、家族からの応援が550kmの長い間どんなに励みになったことか。このレースは2人乗り以上のカヤックがほとんど、そのため足切り時間もここ数年エントリーが始まったSUPのことは考えていなくカヤック基準。複数だとエンジョイできるレースですが、ソロディビジョンでのエントリーは周りから「やるね」と言われSUPはさらに「ワーオ!」というレベル。初の日本人でさらにSUPの僕は注目度大ですごい応援してもらえました。

 

 

 

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今回のボードはJP Australia 14′ x 30″ SportstAIR をアドベンチャー仕様にしたもの。仮眠と大便以外は全てこのボードの上でする。朝日の中グランドクルーに差し入れしてもらったサンドイッチを食べる至福の時。

レースというより我慢大会

脱落したSUPerのほとんどが第一チェックポイントの足切り時間。80kmを10時間でクリアしなければいけないのでここが一番辛かったです。「スタート10時間で足切り失格」はなんとしても避けたかったのでこの一番最初の区間をちょっと飛ばし気味に行きました。そのおかげで初日と2日目は身体中が痛く、全ての筋肉が満遍なくつって痛みとの戦いでした。が、2回目の仮眠をとった後体がこの状況に順応し3日目の朝からは驚くほど体が軽くなり漕いでも疲れない状態となり3、4日目は比較的楽でした。楽と言ってもひたすらの向かい風と交互にくる嵐と灼熱で結構疲れて全身痛いのは変わらないけど笑。

 

 

 

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左上から時計回りで。20時間近く漕いでボロボロになった僕をチェックポイントのボランティアスタッフたちサポートしてくれる/スタッフも24時間体制。特にBrenda とJamesにはすごくお世話になった/グランドクルーとのランデブーをミスってベンチで仮眠/他のパドラーのグランドクルーがいろんなところで親切にしてくれる「BBQ食べていけよ!」

I would answer “People!” if you ask me what was the best about MR340.

(太陽が正面から昇って背後に沈み、夕焼けの中で漕ぐうちにあっという間に闇に包まれ、また正面から日が昇り朝焼けに包まれる)x3セット笑。その間、ひたすら漕ぎ続ける。

そんな大会でしたが何が一番良かった?と聞かれれば即座に「人」と答えます。典型的なサウスウェスト気質な懐の深い優しいパドラー達。抜かす時も抜くときもとにかく会話が弾む。「おっ!日本から来た人だよね!水とか食料なんでもいいから足りないものあったらいつでも言ってね!」とほぼ全員が言ってくれました。実際何かが足りない時は2~3人が一気に「これ使いなよ」と持って来てくれました。

 

 

 

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550kmを漕ぎ切ったパドラー同士は異様な連帯感が生まれ家族のようになるのがこの大会の魅力の一つだろう。パドラー、グランドクルー、運営スタッフが一体となりこのワイルドでクレイジーなレースを12年間続けている

誰も知らなかった土地を去る頃には家族ができていた

レースというよりジャーニー。世界一長いノンストップダウンリバーレースですが、手作り感溢れるハートウォーミングな祭り。それが僕が受けた印象でした。チェックポイントでは地元の人たちが出店を出したり、ボランティアの人たちが24時間体制でパドラーを支えてます。そして圧倒的に地元からの参加者が多い。12年前に15人から始まり今では1000人を超えるパドラーが参加するこの大会の根底には、商業的なものは少なく地元に対する誇りと川とパドラーへの愛情、何よりもチャレンジスピリットが溢れています。スタッフ、パドラー、ボランティアみんなの笑顔がそれを物語っている。

ミズーリ川という未知の世界で550kmという未体験ゾーン、しかも知っている人は誰もいなく、知り合いに出たことある人もいない。僕は長距離レース経験なしで実は持久系のスポーツは苦手、、ないないづくしで現地入りしたが、ミズーリを後にする頃にはみんなとファミリーになれていた。これまた嬉しかったこと。

 

 

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アメリカ大陸のど真ん中を流れる圧倒的な水量のミズーリ川。雄大な景色だが実は550kmの間ほぼ景色は変わらない笑。だが朝日と夕日はドラマチックに訪れる

涙が自然に、、

79時間の間に2回自然と涙が出てきました。2日目の夕方ふと背後を振り返りミズーリの大自然を全てオレンジに染める夕日を見たとき。レース中一番疲労困憊してる時で感極まったのでしょう、自然と泣いてました。2回目はゴール後、特大の達成感に包まれながら一緒に漕いだいろんな人に”You are part of the family now”「俺らはもう家族だ」と言われた時。じわっと来すぎてサングラスをしばらく外せなかった。

 

 

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グランドクルー戸高亮と一緒にゴールイン!

 

 

Ultra T80の理想像のようなMR340。何年後かにミズーリのパドラーが僕たちと一緒に多摩川を80km一緒に下るかもしれない。そう考えるととてつもなくワクワクする。

みんなで作ろう日本一のダウンリバーレース

 

レースの詳細やいろんなこぼれ話は僕のブログでこれから紹介して行きます。

 

Super Thanks

To all the people of MR340. The man,Scott Mankaster . All the people who I met during the race , check point crews. You are all super friendly and helpful and supportive . Ken, JP, Pete, Kirk , Shane , Brake , Jeff  and all paddlers I paddled with .   Brendan and James you guys were like my second ground crew.

It was so awesome to have met you guys ,this was life changing experience for me.MR340 rocks!!

グランドクルーをやってくれた戸高亮くんには最大限の感謝。毎回疲れ切ってチェックポイントやランデブーポイントに近づき、亮くんが手を振ってる姿が見えた瞬間どれだけ嬉しかったことか。初のアメリカで英語も喋れないのにチェックポイントに先回りして食料、飲料を準備し仮眠のためのテントの設営など不眠不休で一緒に乗り切ってくれました。まさに二人三脚でゴールしました。

 

今回に限らずいつもサポートしていただいている企業にも感謝!

シュリロトレーディング(JP Australia)、

FCAジャパン株式会社 (Jeep)

株式会社Cワールド(BreakerOut  CABBO)

日本アクアラング(Stohlquist)

Seek Truth   (Marsyas カーボンパドル 3ピースは最高の友)

ABCマート (Sperry ウォーターシューズ)

仲間達にも本当に感謝!!

いつも相談に乗ってもらっている加藤先生。御岳でお世話になってる人たち、River Base HALAU、ヤクちゃん、浅古さんはじめClub Halauのみんな、日本全国でお世話になってるリバーのブラザーズ達やオーシャンパドラー、レース中インスタで応援メッセージをくれてた人たち、トレーニング仲間、そしていつも支えてくれる妻に最大の感謝。

CABBO MR340 challenge team  Ikuzo Fujimura & Ryo Todaka

2017/8/16   帰国する機内の中にて

text by 藤村育三

 

 

 

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