第一回仁淀川SUPマラソンレポート
「どう漕ぐか?」ではなく「なぜ漕ぐか?」
一足早い夏が来ている南国、四国にて5月21日に行なわれた『仁淀川SUPマラソン』。「SUPを通じて仁淀川や地元の魅力を日本中に伝えたい」と高知でラフティング/SUPツアーカンパニーSUGGOI SPORTSを主催し、自らも日本を代表するスーパーリバーガイドである佐々木弘道さん(a.k.a.ランギ、以下本文ランギ)が今年立ち上げたイベント。
写真:ビギナークラスのスタート!
日本一の清流と呼ばれる仁淀川を初めて体験するパドラーも多く、スタートしながら「水がきれい!」と感動の声がおおく上がっていた。
絶景と清流を楽しみながらダウンリバー!
この大会は、選手だけではなく、初心者や応援に来る家族や友人みんなが楽しめるファミリーSUPイベント。参加者一人一人をきちんともてなしたい、というランギの想いから、定員50人と少人数に限定した。県外からの参加者が圧倒的に多く定員50名満員御礼、残念ながら出場できなかった人もいたことからも盛況ぶりが伺える。
ビギナークラスとエリートクラスが10分のタイム差でスタート。とにかく笑顔が絶えない大会だった。緩やかな川とはいえ、瀬に足をすくわれ落水するパドラーも多々いたが落ちる瞬間も笑顔!(左下photo by Suggoi Sport)
小規模な大会にしてはテレビ3局、ラジオ、雑誌、新聞などメディアの取材が多く、メジャー大会なみの報道陣だった。給水ポイントでインタビューを受けるニッシュさん。
以前CABBOニュースで伝えた新井さんの「59歳、多摩川80kmへの挑戦」。まず第一歩目は仁淀川の14kmということで出場、見事2時間29分で完漕しました!おめでとうございます!80kmの挑戦まであと127日。
今回の課題だった「長距離を力まず漕ぐ」はクリアー。全行程を力まずリラックスしつつ、きちんとパドルに体重を乗せて漕いでいました。(写真右)打ち上げで新井さんを囲む深澤夫妻も挑戦を応援する仲間。みんな応援してますのでがんばってくださいね!
チームCABBOもお手伝い。Yacuはレースの先導、筆者は水上から撮影&大会ロゴのデザイン。一眼レフを持って漕ぐと「絶対に落水できない緊張感」が絶大です笑。
開会式の身が引き締まるワンシーン(photo by Mika Tsubota)のはずが、、誰だ?このブーメラン男!目が釘付けになるこの人は、四国で有名なレジェンドサーファーのパラッピー氏。普段ビッグウェーブにこのブーメラン姿で挑む彼は今回SUPに初挑戦。初めてなのに、さすがの身体能力ですごいスピードで漕いでゴールしてました。しかもスタートしてからゴールするまでずっと喋りながらっていうエンターテイナーぶり!
SUPマラソンの参加者全員の無事ゴールと今月コロラドに遠征するJeep River SUP Team JAPANのメンバー5人(左からランギ、筆者、高畑ヤク、貴貫ひろ子、タマちゃんの代わりにパラッピーさんか!?笑)の無事、健闘を祈願していただきました。こういう仕来りを常日頃から大切にするランギらしい計らいに感謝。
「あの橋がゴールだ!」最終グループのゴールシーン。真剣にタイムを目指す選手からビギナーまでがみんな楽しめるこの大会は将来、SUP界のホノルルマラソン的な位置づけになるのでは?
緩やかな川とはいえ川独特の危険はもちろんあり、コースの状況をよく知る主催者側がセイフティーを適所に配置してくれたおかげで、安全面の対策もしっかりしていた。怪我人ゼロで全員無事ゴール!
吾北清流太鼓・一番風
高知県いの町の郷土芸能である清流太鼓から生まれた和太鼓チームが豪快に叩く太鼓の音が高い空に響きわたり、アフターパーティーが始まった。
ゴール地点から少し離れたところにある刈谷農園の敷地内でおこなわれたアフターパーティー。地元の人達のハートが詰った歓迎っぷりが、仁淀川のきれいな景色と同じかそれ以上に参加者達の記憶に焼き付いているはず。
レースだけ参加し、これに出なかった人は本当に残念ですね。地元の人達と郷土料理を囲み、伝統芸能に触れ、みんなで盛り上がった最高な夜。
印象的だったのが仁淀のローカルサーファー達が僕たちSUPパドラーを歓迎し、もてなしてくれたこと。ランギが地元にきちんと根をはりローカルサーファー達にきちんと「SUP」を紹介したからこそ実現した、川と海が繋がった夜だった。
海も山も川もすべて繋がっている。そこで活動/遊ぶ人も繋がるべき。このイベントを通して世界的に有名な仁淀リバーマウスのローカルサーファーと日本中から集まったパドラーが交流できたのは、まだ浅い日本のSUP史上マイルストーン的出来事だと思う。おおげさに聞こえるかもしれないけど。
この日はサーファー、ラフティングガイド、カヤッカー、SUPer、スノーボーダー、スキーヤー、いろんなジャンルの人が集まって盛り上がった。
波に乗ろうが川を下ろうが山を滑ろうが突き詰めていくと皆マインドは同じはず。ボーダーを超えてみんなが楽しめる今回のようなイベントは貴重ですね。
川と海を繋げるために漕ぐ。そんな主催者ランギの想いが参加者に伝わったのでは?
どうやったら速く漕げるか?どんなフォームがいいか?という「どう漕ぐか?」もいいけど、もっと大切な「なぜ漕ぐか?」というマインドが詰った大会でした。
近年盛り上がっているSUPレースシーン、数多くの大会が開かれる中「仁淀川SUPマラソン」は独特のスタイルと存在感を纏っていくでしょう。みなさん来年もまた会いましょう!
photo and text : Ikuzo Fujimura